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「ほっほっほっ。皆揃ったようじゃの。ま、座りなさい。」 いつの間にか広間の端にある壇上に神様シンちゃんが現れ、 いきなり受験者たちの前に大量のパイプ椅子が出現した。 「たまには神様らしいことやるんだな。」 「いよいよ、下界に戻るための試験か。」 「まだ道具選んでないよ。」 受験者たちは低いざわめきの中、一応着席した。 「ほっほっほっ。見ての通り実技試験を行う。 それぞれの職種、特技に適した道具を揃えてあるので、何でも使って、 おのれの専門分野を表現せよ。 万が一、足りないものがある場合は秘書かわしに伝えよ。 すぐに用意する。 また、表現に相手なり、協力者、パートナーが必要な者も申し出よ。 隣の控え室で非受験者の各分野のエキスパートを待機させておるのでな。 制限時間は10時間。どんなパフォーマンスでも良い。 下界に戻るための意気込み、覚悟を見せよ。では始め!!」 一斉に散らばる受験者たち。様々な機器、道具に向かう人々、 あるいは神様や秘書に群がる人たち。 そんな中、綾乃と亮一はゆっくりと立ち上がった。 「なんだか拍子抜な試験だな。」 「そうね、シンちゃんらしくなくオーソドックス!」 どちらからともなく握手をし、黙って別れた。頑張れなんて言葉は必要なかった。 亮一は楽器の置いてある場所には向かわず、ぶらぶらと歩き回った。 目にとまる人たちを何気なくあるいはじっと見ながら歩いていた。 「いろんな仕事があるもんだなー。」などと独り言を言いつつ、 筆記具の場所に来た時に鉛筆と五線譜、メモ帳を取った。 なおもぶらつく。まるで受験生ではなく机間巡視するかのように歩き回るだけだった。 綾乃はとりあえずPCを1台確保した。 何をしようかと考えてはみたが、自分の分野で10時間ぐらいで仕上げられることなど思い付かなかった。研究所で自分なりにまとめようと思っていた論文を書きはじめようと思った。10時間で仕上がるはずはないのだが骨格だけでもまとめようと思ったのだった。 必要な文献を数冊選び、ネットで研究所のPCにアクセスし、自分のデータをコピーした。 タイトル画面には「二酸化炭素の昇華」 サブタイトルとして「ニ酸化炭素のみで生きる植物の改良について」とある。 データを一通り見直し、「さ、前書きから。」とつぶやく。 素早くキーを打つ。あっという間に打ち出される文章。 『はじめに・・・・ はじめにこの研究は環境問題の対策のほんの足掛かりに過ぎないことを言っておきたい。 研究が効力を持ったとしても一分でも安堵感を持たないでほしい。「なら大丈夫」が「まだ大丈夫」になり「大丈夫かな?」へとつながるのだ。そしてまた環境破壊が始まる。二度と過ちを犯さないということを念頭においていただきたい。 理論上、誕生させることが可能なこの植物。遺伝子を操作することは決してベストの選択ではない。 このような植物を誕生させなくてはならなくなってしまったことがとても悔やまれる。そしてこのような植物が必要のない自然が早く戻ることを切に願わずにいられない。』 書き出しの文章の後、論文に必要なグラフの作成、写真等の準備に入った。 次第に綾乃の意識は論文に集中していき、周りの喧騒など耳に入らなくなっていった。 試験開始から3時間経過。綾乃とは対照的にまだ亮一は他の受験者を眺めていた。 ギターは手にしていたが、五線譜には音符の一つもまだ書かれていない。 今、彼が興味を持っているのは一人の大工だった。 年齢はおそらく45、6くらいだろうが、表情が活き活きしているせいか、若い印象を与えている。 素晴らしい手付きで木を加工していく。亮一は生前、左官屋の見習いもやった経験があり、大工の腕の善し悪しも少しは分かるつもりだった。 “このおっちゃん、いい腕してる。” だがその大工の陽に焼けた節くれだった手から生まれつつあるものは、家でも納屋でもない。外の大工が出した木っ端などで作っている小さな箱のようなものだった。 「親方、何作ってんの?」 大工が一瞬亮一に顔を向け、また目を手元に落としながら白い歯を見せる。 「鳥の巣箱だ。生前はいいものを作ろう、お客を喜ばせよう、そればっかで 自然を無視しちまってたからな。木材の善し悪しは腕でカバーできる。 ま、自然にお詫びだぁな。」 「こっちの大きい木材はどうすんの?」 「柄じゃねぇが、ブランコでも作ってやろうと思ってよ。 俺としちゃ、いつの世も鳥がいっぱいくる大きな木の下で 子供たちには遊んでほしいからねえ。」 「いいねー、それ!」 「にーちゃんもそう思うかい?」 大工の深いしわの笑顔が印象的だった。 亮一はいろんな人を見、話しかけた。 草や花から染料を作る染め付け師、身近なもので化学を教える先生、 ヨガで瞑想に耽る人、美声を響かせ和ませるオペラ歌手、 様々なスポーツで汗を流す人・・・・・ 試験開始から5時間。ようやく亮一は腰を掛けた。 時々走り書きしたメモをめくりながらギターを抱え、五線譜に向かった。 “ひとりひとりのやってることは本当に小さなこと。 それを地道に伝えることから始まるんだろうな。 なにも綾乃のような奴らだけが必要なんじゃない。 親方も、俺ですら必要なんだな。だろ?神様。」 亮一は何気なく受験者の中を巡回中の神様に目をやった。 その時、シンちゃんはまさに神だった。 深く息を吸い込む神様。カッと目を見開いた瞬間、廻りの景色が歪んで見えた。 “あのじーさん、何を・・・・” 亮一がそう思った瞬間、神の間にものすごい雲鳴りと雲震が轟きはじめた。 |
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【瞑想】についてブログや通販での検索結果から見ると…
瞑想 をサーチエンジンで検索しマッシュアップした情報を集めてみると… ...続きを見る |
気になるワードを詳しく検索! 2008/06/12 18:42 |
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今日も楽しく読ませてもらいました^^ |
ねこちゃ 2008/06/13 16:50 |
>ねこちゃっち |
nodoka 2008/06/13 17:36 |
びっくりした! |
maruto 2008/06/14 21:31 |
>marutoさん |
nodoka 2008/06/15 11:03 |
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